たちばな運輸のこだわりの車両について ~貨物の為に工夫されたボディーとは~

よくありがちな”フルメッキ仕様”が、後ろの荷台はごくごくありがちな吊るしボディー。
トラックって何するものですか?荷物運ぶんでしょ?
じゃあ荷台はミリ単位で一から設計しなくてはですね。
当社は最近多い見た目だけの仕様ではなく、きちんと荷物の事を考えてトラックを造っています。
無論、ドライバーの快適仕様もです!
こんにちわ。
最近、ますますトラックやバスの納期が延びていますね。完成車はともかくですが、やはり仕事に応じた車を造るのが本来の姿かと思います。よく昔はディーラーにトラックを発注する際、「メッキは全部つけといてや」とか「キャビンはカスタムで頼むで」とかよく聞きました。ひどい発注の仕方だと「メッキパーツ全てディーラーにサービスさせてやった」こんな話もよく聞きました。昔はトラックは4大メーカー(三菱・日野・いすゞ・日産D)のディーラーに頼めばパリッとしたのが来ると思っていましたが、実はそうではないんですね。では実際はどうなっているのか??

トラックの発注の仕方には大きく分けて二通りある
乗用車を新車で購入する際、ほとんどの場合はディーラーで色やグレードにオプションパーツを決めて購入します。これは普通は当たり前の事ですよね。トラックの場合も国産は4大メーカーのディーラーから購入します。多くの方は(事業用・自家用含め)これでOKなのですが、この場合、いわゆる吊るしと言い、”大雑把に大体の購入者が大体は満足するだろう”という程度の車両が市場に出回る訳です。洋服などと同じですね。量販店の紳士用のスーツなんかはまさにこの通りですよね。これがいわゆる完成車といい、言い方を変えれば”出来合いの車”という感じです。
この真逆の購入の方法がいわゆる”一組の車”といい、”造りの車”などとも言われています。基本的に4大メーカーから販売されているトラックというのは、シャーシにキャビンやエンジンなど動く為に必要なモノがついただけの通称”トンボ”と言われるモノが販売されているだけで、そこにメーカー資本が入ったような後ろの荷台ばかり造っているようなボディーメーカーとセットで完成車が販売されている訳です。セットというか抱き合わせ販売というかは何とも言えないですが、この完成車はそれはそれでまだ安くて、比較的購入しやすいようなラインナップが用意されています。
話は一組に戻ります。例えばフソウが乗りたい!!や、日野がイイとなると、必然的に4大メーカーから選ぶのですが、ボディーの寸法をこうしたい・内高をこうしたい・積載量をOOkg確保したいとなると、逆の順序でまずボディーメーカーと打ち合わせをする訳です。そこで各メーカーの車種の条件を比べ、日野のシャーシとの組み合わせならその寸法を確保できるが、いすゞとの組み合わせでは不可能だというような感じになり、それからやっと4大トラックメーカーから選択するという事になります。前提として、まずご贔屓のボディーメーカーは決めておかねばなりません。
ボディーをどういう風に設計していくか?イメージが大切
設計といっても、運送事業者が設計図を書くわけではありません(そういう事業者もおられるかもですが)無論ベースとなる設計や不可能なボディー寸法もある訳で、まず基本となる設計からこちらの要望やイメージをボディーメーカー担当者に伝え、ベースとなる設計図を作成してもらいます。そこから荷台寸法や素材、拘りで幾度となく変更して設計図を完成していくわけですが、湯水のようにお金をかけて作成するとしても、不成立となる場合も多々あります。GVW8tベースの車両など特に注意が必要で、例えば4tユニック車など、荷台にあれも付けたいこれも付けたいと進めていくと、すぐに軸重オーバーで不成立となります。あくまで計算上ではありますが、この計算上でも成立させていくのは、ボディーメーカーの設計担当の腕の見せ所となる訳です。前軸の荷重がギリギリなので、少し工具箱を後ろにズラしたり、荷台オフセットを工夫したり、よくあのような計算が出来るなといつも感心します。大型車でも少し前までは色々と架装していくと、4軸車の場合は245サイズのタイヤで荷重がオーバーとなり、265サイズになってしまう事がよく起こりました。

軽量素材と価格のバランス
トラックの荷台は一定に強度が保たれているとの前提であれば、軽いに越したことはありません。しかしながら、アルミ素材やカーボン素材を多用するとすると、重量は軽くなり積載量は確保できるものの、最終価格は大幅に上昇します。そこのバランスが非常に重要なんです。通常は鳥居の素材は鉄となりますが、あと30㎏フロントが軽ければタイヤサイズが245で成立するや、あと20㎏軽ければ最大積載量が13000㎏になるというギリギリの場合では、前述のような高価な軽量素材を使うのも一つの手段かもしれません。しかし重要なのは、やはり車両価格と稼ぎ出す金額から考えて「割に合うかどうか」と思われます。
ステンレス素材は鉄より重い?
よくメッキ加工ではなくステンレスを多用したトラックを見かけますが、実際のところステンレス鋼の方が実は重くて高価なんです。鉄の比重は約7.8g/cm³ですが、ステンレス鋼の比重は7.9g/cm³から8.0g/cm³程度となり、数字上でも本当に重い事になります。ただ、ステンレス鋼は鉄製より強度と防錆性が高いので、肉厚などで重量を計算しながら効率的に使うといいかもしれません。それにステンレス鋼を多用した荷台は、本当に芸術品のようで美しいですよね。当社のトラックも要所要所は採用しております。
こうして幾度となくボディーメーカーと打ち合わせをして設計し、実際の作業にかかって車両を製作していくのですが、実際に作業していくと色々と問題は起こってきます。一番どうにもならないのが、ベースとなるシャーシが計算上より誤差などで重い事。ひどい場合は大型車で100㎏以上重い事もあるようで、これで希望の積載量が確保出来ない事もあります。当社も計算上3000㎏確保できる予定の4t平車が過去にあったのですが、どうしてもベースとなるシャーシの誤差などで、最終的には最大積載量は2950㎏となりました。登録検査後に車検証上その積載量が記載されてしまうと後からはどうにもならなく、更にそれから10年以上は使用していくとなると、出来るならば少し余裕を持った設計がベストとなります。

裏技はあるのか!?
当社は設計段階で重量に余裕がない場合、メーカーのラインからシャーシが流れて来る前にタイヤは縦溝を選択します(ボディーメーカーに到着してからの変更は追加費用がかかる事がある)
この理由は、縦溝タイヤの重量が大型245サイズで一本辺り3㎏程度軽いからです。大型低床トラックは12本なので「3㎏×12本=36㎏」となり、36㎏軽くなるからです。タイヤメーカーによって差はありますが、もし外したタイヤを持つ機会があれば、ミックスタイヤと縦溝タイヤを比べてみると実際に体感できると思います。この先ほどの36㎏は”たかが”と考えるか”36㎏も”ととらえるかは各事業者の判断ではありますが、先ほども述べたようにギリギリワンランク落ちそうだというような時には、有効な手段とは思います。また、これは最終手段ではあるのですが、乗車定員を2名から1名に変更する事で、55㎏稼ぐ事も可能です。
細かい秘密技は企業秘密とさせていただきますが、このようにして幾度となくトライ&エラーを繰り返し、ようやく完成したトラックが納車されます。経験上からいくと、1号車は改善の余地がまだ残り、3台目くらいでようやく完璧かなといった感じです。
しかしながら、実際に使用していくと、細かな修正箇所はやはり出てきます。アオリや何かの装備を使うとどこかに微妙に干渉するなどがよくある事ですが、貨物を荷台のどこに積むかによって重心が変わり、それで不具合が出る事もありがちです。トラックに限らず車というのは硬いモノではありますが、やはりたわみや捩れは生じるものなので、ある程度そのイメージをしていく事が失敗した車造りを防ぐ為に重要となります。

このような感じで当社のトラックは貨物を輸送しているのですが、大前提に車というモノに興味がなければイイ車は造れません。とりあえずの車ではとりあえずの貨物しか輸送出来ない。細心の注意が必要な貨物は、考え抜かれて製作したトラックで輸送する。その運賃はやはりそれなりに高価になる。その辺りをお客様に理解いただけると幸いです。
いかがだったでしょうか?少しマニアックな話になりましたが、当社のトラックはここまで考えて造っていると少しでもご理解いただけると幸いです。今まで平ボディしか運べないと思っていた精密機械、当社の車両であればウイング車で運べるかも??という事も多いと思いますので、ご興味がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
最後までお読みいただきありがとうございました。