提案型輸送について「ボトルネック部分を改善して、結果的にコスト削減」
こんにちは。
今日は、提案型輸送についてお話しします。
よくありがちな話しですが、お客様が物流コストが高く困っていると言われており、
そういう時に「こういう提案です!」と言って運送業者が出されるのは、ただの見積書。
しかも内容を見てみると、既存の運賃よりも1台辺りが少しずつ安くなっているだけ。
お客様が「この安くした根拠はなんですか?」と問うと、
元気よく「頑張りました!!」と元気な運送業者さん。
「いやいや、だからどこをどう頑張りましたか?」と、お客様が言うと、
「清水の舞台から飛び降りるつもりで・・・」と運送業者さん。
そんな事聞いてません。。
安くするにも説明できる根拠が必要ですし、明確に説明できなければいけませんよね。
バナナのたたき売りじゃあるまいし。
運賃の中には、ドライバーの給与に車両の支払いに整備代など、色々と含まれています。
当社はここを下げても、OOの部分で利益出せるので大丈夫ですというなら分かりますが、
根拠なく下げるのはNGですね。そういう事をするから、ダンピング競争という、負のスパイラルに
陥るのです。だからと言って、下げるのがダメと言っている訳ではありません。
事例として、こういう事がありました。
あるお客様が、専属でトラック5台を毎日使っておられました。
ここで「物流コストが高く困る」というご相談を受けたのですが、
業務の内容を一つずつひも解いてみると、無駄な部分が多くありました。
当社の調べから、1台辺りの生産性を上げれば、3台で日々の業務がこなせそうと
提案させていただきました。
仮定として1台辺り¥30,000円を5台使っているとすると、日に計¥150,000円となります。
ここを生産性を上げるよう改善してみて、1台辺り¥35,000円とすると、
日に3台で計¥105,000円となり、結果的にコスト削減に成功した訳です。
しかも1台辺りの運賃は上がり、賃金体系にもよりますが、ドライバーの給与も上がる訳です。
※あくまで仮定ですので時間や距離などの事は考慮に入れてません。
じゃぁ、余った2台はどうするのか?
他の仕事を営業して取ってくればいいじゃないですか。簡単な事です。
2台余るというネガティブな思考でなく、2台余りが出来たから他の仕事が出来る!!
というポジティブな思考でいいんです。
お客様はとても喜んでおられたのですが、こちらから質問もしました。
「今までの業者さんは、こういう提案はなかったのですか?」と。
すると、「今までのいくつもの運送業者さんからは、こういう提案された事はなかった」
との事でした。確かに「運送屋はただ安全に安く運んでくれるだけでいい」という荷主さんも
一定数おられます。しかし、本当にお客様の立場になって考えるという気持ちが先に立っていれば、
両方共にwinwinになる提案をするのが当然じゃないでしょうか?
また、こういう話もあります。
お客様が「工場内が製品であふれかえり、足の踏み場もない。積み込みにも支障が出ているので倉庫を探して欲しい」
との事でした。現場に行くと、確かにおっしゃる通り足の踏み場もない状態でした。
このままでは、いつ労災事故が起きてもおかしくありません。
倉庫ももちろん情報を取るのですが、まず、何が原因でこういう状況になるのか?
そこをお客様と共に調べてみました。そうすると、受注→生産→出荷という一連の流れの中、
管理の問題で先の納期の製品が先に作られて工場内に留まっている事が分かりました。
そこに後からの受注ではあるが、納期が近日の製品を置くところがないという事が分かりました。
結果的にそのボトルネックの部分を改善する事により、現場は整理整頓されて動線も確保されて
本来の姿に戻る事が出来ました。結果として、無駄な倉庫は必要なかったのです。
また、この事から更に進めていくと、お客様のサプライチェーン部分でも同様ような事が起きており、
こちらも原因究明して改善となりました。
運送業者の言う提案とは、本来はこういうものじゃないでしょうか?
単なる値段を下げるだけ、こういう業者が本当に多すぎます。
また、こういう事もありました。
とある同業者さんから「大型の平を探して欲しい」との事。
内容を確認すると、どうやら大型ウイングパワーゲート付きなら対応出来そうです。
それなら当社で即対応可能なのでそれを伝えると、「お客様(物流事業者のようだ)が平と言われているので、
平で対応して欲しい」と言われました。当社が「大型平はそんなにすぐには探せないので、そのお客様にウイングゲートで対応可能と
確認してもらえませんか?」と伝えると、「お客様にそういう事は言えない」の一点張り。
結果として当社は請けていませんが、これっておかしくないでしょうか?その一言を提案すれば、それでわざわざ数少ない
大型平車を探さなくても当社で運行可能な訳なんです。
帰り荷を探すときなども、当社の5mの平ボディーの時も同じような事がよくあります。
積載重量も嵩も全てOKなのに、6.2mの4平でないとNGだと。しかも、聞いてもくれません。
これって、本当におかしい事です。そういう業者さんに限って、繁忙期でトラックが探せないと、
それでもいいと連絡して来ます。
このおかしな運送屋の風習、何とかしなくてはいけません。
運送会社は提案してはダメなんでしょうか?お客様の言われた事に、疑問があってもそのまま「はい」の返事だけなんでしょうか?
今はコロナ禍で運送会社も暇なところも多くトラックは余っていますが、コロナ禍が明けると、
すぐに元のトラック不足に陥ります。また、2023年の残業代60時間超1.5倍支給や、2024年の残業時間上限960時間問題など、
これからは本当に荷主と運送会社が物流に対して真摯に向き合わないと、運びたくても運べない時代がやって来ます。
「戦略はロジスティクスにあり」という言葉がある通り、いくら良いモノを考え作ったとしても、
お客様の元に届かなければ絵に描いた餅となります。
ロジスティクスという言葉は戦争から来ており、戦時中、最前線の兵士に物資や食料を届けなければ勝てないと言われており、
米軍などはそこを重点的に考えていたと言われています。
Amazonなども、配送システムにはとてつもない投資をしているのも、そういう流れからと想像がつきます。
日本はどうしても我慢が評価される国で、悪しき風習が多く残っていますね。
配送に関しても、「手で運んだらいいでしょ」みたいな感じです。
こういう事も、もっと荷主と運送会社が徹底的に考えていけば、無駄な作業や配送は無くなるはずです。
本気でこういう事に取り組んでいかねばならない、もう今すぐにです。
長文になりましたが、こういう提案を希望される会社様、
とりあえず話がしたい、立ち話OK,井戸端会議OK
物流経営士が二名在籍しておりますので、お問い合わせ心よりお待ちしております。
投稿:よしだ